アナログ作品

パソコンはもちろん、タブレットでも商用レベルの絵を描ける現在、アナログ、いわゆる手描きによる創作活動は主流の座を奪われつつあります。作品の発表やビジネスの場が急速にデジタルへと移行する現在においては、描き手にとってもアナログのメリットを見出す事が難しくなって来ているからです。

中村が商業デザイナーとして活躍を始めた時代では、コンピュータグラフィックス等は存在していません。ここに収録したアナログ作品は、彼のデザイナー人生において大きな転機となったアメリカ時代に描かれたものが中心です。

ですが、コンピューターグラフィックが誕生し、家庭用のパソコンでもその一端に触れることが可能になり始め、インターネットと言う言葉が世の中に浸透し始めた頃、中村は何のためらいも無く新しいテクノロジーである「デジタルペイント」の世界へと足を踏み入れました。来たるべきデジタル世界への期待やその可能性を信じて、等という理知的な動機ではなく、デジタルでの色表現の方が「望みの色を簡単に創り出せる」という極めてシンプルな理由からでした。

晩年は風景画を中心としたイラストレーター的な立ち位置ですが、中村の仕事はグラフィックデザイナーでした。一筆ごとに色調にゆらぎが生じるものではなく、狙った色が正確に表現できるコンピューターグラフィックスの特性に、彼が夢中になったのも当然でしょう。

そんな中村が残したアナログ時代の作品ですが、そのテーマや技法などにアナログの限界が垣間見えます。もっとシャープなライン、もっと鮮やかな色を手にしていれば、これらの作品ももっと違う印象を感じたに違いありません。

アナログ作品 主要作品一覧

<作品のお楽しみ方>

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素描作品

こちらで紹介するのは、中村が手元に残していたスケッチブックに描かれていたデッサン(素描)作品です。描かれた時代がいつのものなのか分かりませんが、デッサンは絵画の基本的な習熟の手段とされており、いずれの作品も若かりし頃の中村の情熱が込められたものに違いありません。

人物画が多いのは、デッサンの狂いがひと目で分かってしまう人間描写こそが、デッサン力・描写力の鍛錬に最適であるからで、中村が技術の習得に真剣に取り組んでいた証拠でもあります。木炭・鉛筆さらには色鉛筆によるカラー作品までバラエティーに富んだ素描作品群を、どうぞご覧ください。

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